蓄電池は何kWhが最適?家族構成と家電から容量の目安を計算する方法【実効kWhで失敗しない】

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蓄電池は何kWhが“ちょうどいい”?家族構成と家電から容量を逆算する

蓄電池の容量って、つい「大は小を兼ねる」で選びたくなる。

でも実際は、家族の暮らし方と家電の使い方で「ちょうどいい」は変わる。

今日は、感覚ではなく数字と生活動線で決める方法を、できるだけやさしく整理する。

まず決めるのは「何を叶えたいか」

停電でも数時間しのぎたいのか。

電気代の高い時間帯をやり過ごしたいのか。

太陽光の自家消費率を上げたいのか。

目的が違えば、必要な容量はまったく違う。

目的が複数あるなら、優先順位を付けると迷子になりにくい。

1日の電力を“時間帯で分けて”考える

月間使用量の平均だけを見ると、容量は決めにくい。

重要なのは、夕方から夜にかけてのピークと、深夜の静かな時間の差だ。

電気代を抑えたいなら「単価が高い時間帯」を、停電対策なら「電気が絶対に必要な時間」を主戦場に設定する。

ざっくり式

必要容量のおおまかな目安は、次の二段ロジックで出すと失敗しにくい。

  1. 夕方〜夜に使う電力量の見積もり
    例)17時〜23時の合計消費 kWh
  2. 蓄電池の実効容量に変換
    実効容量 = 公称容量 × 放電可能率(DoD) × 効率
    参考イメージ:DoD 90%、往復効率 90%なら、公称10kWh → 実効約8.1kWh

この「実効容量」が、ターゲット時間帯の消費にどれだけ当てられるかを見る。

家電別の“固定費”を先に引く

ピーク時間に絶対動く家電を先にカウントしておくと、必要容量が安定する。

冷蔵庫は平均70〜120Wで常時動く。

照明はリビングとダイニングで合計100〜200W程度。

Wi-Fiや待機電力でさらに数十W。

このあたりは合計で毎時0.3〜0.5kWhと見ておくと、読みが大崩れしない。

代表的な暮らし方シナリオ

1人または2人、日中不在多め
夕方のピークは調理と入浴前後が中心。
目標が「夜の単価高い時間をやり過ごす」なら、実効4〜6kWhで体感が出やすい。
電子レンジやドライヤーは瞬間的な高出力なので、容量よりも「出力(kW)」のほうを確認する。

4人家族、在宅時間長め
夕食前後の同時使用が多く、17〜22時に電力が膨らむ。
実効7〜10kWhが一つの基準。
IH、食洗機、浴室乾燥などを同時に動かす家は、出力3kW以上の機種が安心。

オール電化でエコキュートあり
湯沸きは夜間の安い時間に寄せられるため、夕方ピークはやや軽い。
実効6〜8kWhでも効果を感じやすいが、冬場の暖房をしっかり肩代わりしたいなら10kWh級を検討。

停電レジリエンス重視
冷蔵庫、照明、通信、スマホ充電、最低限の暖房・調理を何時間維持したいかで決める。
目安は「毎時0.5〜1.0kWh × 維持したい時間」。
例えば最低限0.7kWh/時を8時間なら、必要実効は約5.6kWh。
非常時は使い方を絞る想定で見積もると現実的になる。

太陽光と組み合わせるときの考え方

冬は日射が短く、日中に満充電できない日もある。

だから「発電量の平均 × 充電時間」で、どこまで戻せるかを見ておく。

例えば冬の日中に3kW前後で3時間発電できるなら、理論上は9kWhを充電できるが、家の同時消費に引かれて実際はもう少し少ない。

容量だけを増やしても、日中の“入ってくる電力”が足りないと宝の持ち腐れになる。

昼の家電をできるだけ日中に寄せる運用とセットで考えるのがコツ。

容量だけでなく“出力”も必ずチェック

容量が十分でも、同時に取り出せる電力が低いと使いづらい。

電子レンジやドライヤー、IHを重ねると一瞬で2〜3kWに到達する。

「連続出力」と「瞬間最大出力」の両方の仕様を確認する。

V2Hを使うなら、EV側の出力制限も合わせて見る。

充放電サイクルと“余白”の話

蓄電池はバッテリーの寿命を伸ばすため、毎日フルの0〜100%を振り切らない運用が基本になる。

公称容量の100%を常用できるわけではないから、見積もりに1〜2割の余白を残しておくと安心。

非常用に常に20%を温存するモードが選べる機種もある。

具体例でシミュレーション

前提
4人家族、太陽光5kW、オール電化。
ターゲットは17〜23時の6時間。
この時間帯の平均消費は1.4kW。
必要電力量は 1.4kW × 6h = 8.4kWh。

蓄電池の実効を8.4kWhに合わせたい。
DoD 90%、効率 90%とすると、必要公称容量は 8.4 ÷ 0.9 ÷ 0.9 ≒ 10.4kWh。

よって公称10〜12kWhクラスが“ちょうどいい”候補になる。
日中の発電で満充電しきれない日を考慮しても、運用の微調整で吸収できる範囲だ。

よくあるサイズの目安と解釈

小型 4〜6kWh
共働き世帯の夜ピーク軽減や、自家消費の入門として現実的。
停電は数時間の最低限運用が対象。

中型 7〜10kWh
4人前後の一般家庭で、夕方〜夜の主な負荷を肩代わり。
電力プランのピーク回避に効きやすい。

大型 12〜15kWh以上
在宅時間が長い、または冬の暖房を厚めにカバーしたい家庭。
太陽光の規模や日中の余剰が十分にある場合に真価を発揮。

どの帯でも、出力性能と充電できる日中余剰の量が鍵になる。

失敗しないチェックリスト

電気料金プランの単価が高い時間帯はいつか
その時間の消費が何kWhあるか、2〜3日でいいので計測する
停電時に絶対動かしたい家電を時間ごとに書き出す
太陽光の冬場発電をざっくり把握する
公称容量ではなく実効容量で考える
連続出力と瞬間最大出力を両方確認する
将来の家電追加やEV導入の可能性を一言メモしておく

まとめ

蓄電容量は「家族の時間割」と「家電の同時使用」を数字に置き換えると、自然と答えが見えてくる。

公称何kWhかではなく、実効でどれだけ夜の山を削れるか。

そして、出力が生活のテンポに合っているか。

この三点を押さえれば、過不足の少ない“ちょうどいい電池”にたどり着ける。
あとは、冬の夕方に一番うるさい家電から順番に、そっと肩代わりしてもらおう。

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